熊の脅威

山菜採りは、常に熊の脅威に晒されています。
熊と遭遇するなど、考えてみたくもないでしょうが、最近は人里にも熊は出没していますので、貴方もいつ熊にばったり出くわすか知れたものではありません。
熊との遭遇を避ける方策や、運悪く遭遇した場合の対処法がわかっていれば、より安心に山菜採りが楽しめると思いますので、私が知っている熊対策をご紹介します。
これは知ると知らないでは雲泥の差があります。
大袈裟に言うと生きるか死ぬかの問題です。
先ず一番大事なことは、熊と遭遇することがなければ熊の被害にあうこともない、ということをしっかり認識することです。


一番間違いないのは、山菜採りなど出かけないことですがそんな勿体ないことは私にはできません。
また、しっかり安全対策をしていれば、熊と出っくわすことは殆どありえないので、山菜取りは、十分に楽しむべきものだと思っています。
熊と遭遇しないためには、俺はここにいるぞと熊にアピールすることです。
具体的には、熊除けの鈴を携行する、大声で歌うラジオをつけっ放しにするなどですね。
これは、人間が近づくのがわかるとその場を立ち去ろうとする、熊の習性を利用しています。
熊も人間が怖いので遭いたくないんです。

また、朝、夕の時間帯は山に入らないようにしましょう。
熊が活発に歩き回るのは朝、夕の時間帯といわれています。
この時間帯は避けたほうが無難です。
万が一熊と遭遇してしまった場合は、熊から目を離さず、気を奮い立たせて、毅然かつ悠然と構えることが必要です。
鈴を鳴らしたりして歩いているのであれば、出会いがしらにバッタリ遭うことは、まず考えられませんから、熊との距離はいくらかあるはずです。
身じろぎせず、鋭い眼光で睨み続けながら、熊に威圧感を与えます。
とにかく、熊になめられている自分自身を感じてしまったら負けです。

熊よりお前は強いんだ、と自分自身に言い聞かせることが大切です。
パニックに陥り、熊に背中を向けて逃げ出すのはやめた方がいいでしょう。
熊は野生の本能として、逃げるものを追いかける習性があるようです。
熊に、背を向けて逃げ出すことは、熊に追いかけられる危険性を、いたずらに増幅させるだけだといいます。
あなたが、落ち着いてさえいれば、よほどのことがない限り、熊のほうが立ち去るはずです。
熊の走行スピードは、MAX時速60kmといいますから100mを6秒で走ります。

逃げても無駄なんです。
オリンピック選手ですら、あっという間に追いつかれてしまいます。
ここはもう開き直るしかありません。
それでも熊が立ち去らない場合は、熊に正対しながら貴方が後退する選択肢しか残されていません。
後退して、自分の持ちまわり品を、小出しに周辺に撒き散らしながら、熊の注意をはぐらかし、時間稼ぎをすることが大切でしょう。
よく死んだ振りをすればいいなどと言う方がいますが、どういう根拠があるのか理解に苦しみます。
死んだ振りしているところを、つまり無防備な状態にあるところを襲われたら、全くなす術がありません。

そんなイチかバチかの戦法を採るより、最大限逃げる方法を探った方が、熊に食われてもまだ納得ができます。
散々努力をしても、熊がなおまとわりつく場合は決心覚悟のうえ、熊と一戦交えるしかありません。
偉そうな事をいっていますが、私自身は熊に追いかけられたことも、熊と相撲をとったこともありません。
但し、数十メートル先で、熊とにらめっこをした経験なら一度ならずあります。

熊のあしらい方は、亡くなった祖父からよく言い聞かされていたので、自信はありませんが、一戦交えなければならない場合の心積もりもできています。
が、用心していれば、そんな事態に陥ることはほとんどないと思っていますし、これまでも経験はありません。
熊に襲われるほとんどのケースは「出会いがしらに襲われる」です。
つまり、見えない熊に自分の存在をアピールできてさえいれば、熊を怖がる必要はないのだと私は思っています。

但し、私の経験則が万人に当てはまる確証は持ち合わせておりませんので、初心者は山奥に分け入ってはなりません。
人間は、ゴルフ場やレジャーランドを切り開いたりして、熊の生活圏を狭めてきました。
秋になると、熊は民家の畑に現れて、トウモロコシなどを食い荒します。
仮に、人間の言葉を理解できる熊がいて、「熊畜生め人間様の畑を荒しやがってふてぇ野郎だ」と聞いたら、熊は何て言うでしょう。

きっと、「畑の一つや二つ何だって言うんだ。
俺らはお前らの道楽のおかげで安心して住める場所さえないんだぞ。
」と言うでしょうね。
ある意味、熊による被害は我々人類が撒いた人災でもあります。