山菜採りのマナー

マナーその1 根絶やしの防止
山菜は、野菜のように人為的に種が撒まかれて、増えていくものではありません。
土壌・気象条件などその山菜に適した、人知では推し量れない、摩訶不思議な自然摂理のもと、自然に発芽し生育していくデリケートな植物が山菜です。
したがって、品種改良を重ねた野菜と違い、繁殖力が弱いので、根絶やししないように注意して採取することが、一義的なマナーになります。


@山菜の根は必ず残すのがマナーです。
山菜には、手でしごけば自然に折れる、目には見えない「たおやかな節」があります。
一般的な山菜で、ナイフなどを使ったほうがいいのは、地下茎が深い、ウドやカンゾウくらいのものでしょうか。
ノビルやアサツキなどの山菜は、全部引き抜いてしまわないで、半分は残してあげるのがマナーです。

できれば、ゆりの根は見逃してやってください。
鱗茎の数片をはがして、埋め戻す手もありますが、私はおすすめできません。
ゆりは花を観賞するだけで十分ではないでしょうか。
Aタラノメなど、樹木の先につく山菜の二番芽は採らないのがマナーです。

二番芽は採っても、三番芽を採らなければ大丈夫といわれていますが、私は二番芽も控えるようにしています。
マナー以前の問題として、近頃のタラノキの扱いを見ると、そう遠くない将来に絶滅してしまうんじゃないか、という危惧に取り付かれます。
タラノメは、山菜の王様と呼ばれているほど貴重な山菜です、絶えることのない様、取り扱いには十分注意してほしいと思います。
B山菜の樹木を痛めないのがマナーです。
タラノメ、ハリギリの芽などは、棘が付いている樹木の高いところにつく山菜です。

芽が摘まれ、人手により切り倒されたタラの木を見かけるととてもやりきれない気持ちになります。
自己防衛のため生み出された自然の英知を、あざ笑うかのような、心無い者たちの傲慢な行為には、必ずや天罰が下るでありましょう。
C時機を逃がした山菜は採らないこと、また必要以上に採らないことも山菜採りのマナーです。

山菜の収穫量に自信が持てないのか、成長しすぎて食べられそうもない山菜が無残にも引き抜かれて、山中や道路端に捨て置かれている光景に出会うことがあります。
根がついていれば、そのうち花をつけ、秋には実がなり、新たな命が紡がれたものを。
腹立ち紛れの仕業なら論外ですが、初心者の方の所為であれば、早く自然の摂理に気がついて、山菜を慈しむマナーを身につけて頂きたいと思います。
マナーその2 山菜採取禁止地帯の認識

法令に抵触するようなマナー違反を行なってはいけません。
マナー違反どころか、法令違反でお縄を頂戴することになります。
@国立公園、自然保護区に指定されている地域での山菜を含む植物採取は禁止されています。
A個人や集落が所有する山林にも立ち入ってはなりません。
目安として、入山禁止の立て札がある山林で山菜を採ってはいけません。
その他、注意を要する事項@国有林など、山菜の採取料金を徴収される場合があります。

林野庁の許可を受け、地元の森林組合などが実施しているもので、知らない土地で入山するときには、情報を入手してからにしましょう。
A立て札がなくても、山林の中できのこなどを栽培管理していることもあります。
この場合は、近くに監視小屋があったり、きのこの場合であれば、木に菌のコマが打ち付けられているので、状況判断すれば、必ず分かります。
このような方々は、山菜栽培により生計を維持していますので、貴方の道楽で生活を脅かすマナー違反をしてはなりません。
マナーその3 山火事に注意

立入禁止の理由に、山火事防止のためという看板を掲げている所をよく見かけます。
山で山菜料理を楽しむ場合、火の始末には十分注意しましょうね。
言及するまでもないと思いますが、タバコの投げ捨ては重大なマナー違反です。
山菜を取巻く環境を次世代に継承する義務万葉集に次のような歌があります。
「籠もよ、み籠持ち、掘串もよ、み掘串持ち、この丘に、菜摘ます子、家聞かな、告らさね、そらみつ、大和の国は、おしなべて、吾こそ居れ、しきなべて、吾こそ坐せ、我こそは告らめ、家をも名をも」〜雄略天皇「明日よりは春菜摘まむと標し野に、きのうもけふも雪はふりつつ」〜山部赤人古の時代から現代に至るまで、庶民の暮らしに根付いた山菜採りの知恵と文化を、私たちの時代で断ち切ってしまわないように、山菜採りのマナーをしっかり守って子孫に受け渡していきましょうね。
山菜採りは、己が試されている美学の側面を持ち合わせているような気がします。

貴方が山菜に対して何をしようが、咎める人は誰もいませんし、山菜も何も言わないでしょう。
しかし、それ故、尚更、貴方の責任は重大なのです。
マナーを軽視する者、山菜フィールドに立ち入るべからず!
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