日景温泉
秋田・青森の県境、矢立峠から秋田県側に入った、山中に位置する日景温泉は、その泉質と効能が類似していることから、みちのくの草津と呼ばれています。
日景温泉の建物は、木造作りでどっしりと風格があり、内湯の浴槽も総ヒバ造りと風流の贅を極め、訪れる人を魅了します。
日景温泉のプロフィール
【住所】秋田県大館市長走37
【電話】0186-51-2011
【日帰入浴料】税込400円（2006年9月現在）
【成分表示】［泉質含硫黄−ナトリウム−カルシウム−マグネシウム−塩化物泉（硫化水素型）］［泉温42度］[湧出量90L/分]
【効能】心臓弁膜症、慢性関節リュウマチ、慢性筋肉リュウマチ、神経痛、神経炎、糖尿病、慢性皮膚病など
東北自動車道を、碇ヶ関ＩＣで降りて、国道７号線を大館方面に南下すると、１５分くらいで「日景温泉入口」と書かれた標識（右の写真）が左手に見えてきます。
日景温泉の手前には、古遠部温泉、湯ノ沢温泉、矢立温泉、あいのり温泉などの温泉宿が、ひしめき合っています。
この標識を、右折して、杉木立に囲まれた山道を７００ｍほど行くと、突き当りが日景温泉になります。
日景温泉の建屋は、歴史の重さがどっしり感じられる、壮大な二階建ての木造建築で、その広大な敷地と共に、訪れる観光客を圧倒します。
開設は１８９３年とのことですから、創業者の日景弁吉翁が、磐梯山大爆発の地震の後に湧いた温泉で経営を創められてから、これまで１１０余年が経過したことになりますが、この長い年月の間に、日景温泉の建屋は、幾度も増改築が施されたことが拝察されます。
下の写真をご覧ください。
奥に見えるカウンターが、日景温泉のフロントデスクで、この玄関から中に入いると、応対の従業員の方が奥から出てまいります。
ここで入浴料の支払いを済ませて、直ぐ入浴するのであれば左に進みます。
ちなみに、右手は売店と休憩所になっています。
風呂場に向かう途中には、左下の写真のように秋田杉に関する写真が展示されていたり、風呂から上がった後の休憩室が数箇所設けられていたりして、利用客への気配りが感じられます。
宮沢賢治の作品に「注文の多い料理屋」という童話がありますが、初めて利用する時は、この物語に登場する二人の猟師のように、なかなか風呂場に着けないので、不安になるかもしれません。
それほど日景温泉の屋敷は広いんです。
あ、そうそう、途中にはなんと卓球台まであるんですよ。
暖簾をくぐると浴室に到着です。
この日は、私のほかに４、５人の方が利用されておりましたので、浴槽は脱衣所から半分だけしか撮ることができませんでした。
半分見えているメイン浴槽の左手奥に、もう一つ寝転がって利用する浅い浴槽があり、更に右手の引き戸を開けると、露天風呂に出ます。
露天風呂からは、隣の女湯が見えそうな気がするので、気の弱い私は利用したことがありません。
脱衣所の引き戸を開けると、かなりきつい硫黄臭にお湯に入る前から心が躍ります。
日景温泉の浴槽は、青森ヒバで造られている由、浴槽に浸かるとヒバの匂いが硫黄臭と混ざり合い、あくせくした日々の現実から、一時の桃源郷へと貴方を誘ないます。
浴槽の縁に両肘を掛け、天井を見上げると、ヒバを使って縦横に組み合わされた、太い梁が大変みごとです。
お湯は白い濁り湯で、湯当たりが柔らかく、日景温泉がアトピーなど、皮膚病に効くといわれていることにも素直に合点がいきます。
また、あたかも泥湯に浸かっているような錯覚に陥いるのは、それだけ、日景温泉の温泉成分が、豊富であることの証に違いありません。
湯口に、飲泉コップがあったので飲んでみると、塩味の効いたタマゴ風味でかなり濃い味がします。
飲用の場合は、慢性気管支カタル、アレルギー性疾患、便秘、リュウマチ、痛風などに効果があるとのことです。
日景温泉は、湯治の効果について「三日一廻りの霊泉」のいうキャッチコピーで、売り込んだというお話をうかがいました。
湯治の効果が表われるまで、通常一週間から１０日かかるそうですが、日景温泉なら三日で十分だとの意味合いだそうです。
これだけ日景温泉ファンがいるのですから、この謳い文句、決して誇大広告ではありません。
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