後生掛温泉
後生掛温泉は、八幡平国立公園の焼山東麓、秋田県側アスピーテライン沿いにあります。
後生掛と書いて「ごしょうがけ」と読みますが、どんな経緯からこんな名前がついたのでしょう。
後生掛温泉の名の由来は、こう言い伝えられております。
今から、300年ほど前、岩手の久慈に妻子を持つ若者が、里を離れ地獄谷(今の後生掛周辺)に牛を飼って暮らしていましたが、大病を患い寝込んでしまいました。
折りしも恐山への巡礼に向かう若い娘の手厚い看護により、若者の病状は回復し、二人は仲睦まじく暮らすようになります。
ところが、夫の帰りを待ち侘びた本妻が、子供を連れて地獄谷を訪れ、若者の不倫はあえなく露見してしまいます。
裏切りの現実を突き付けられた女性二人は、哀れにも各々沸々と煮えたぎる地獄谷に身を投じ、空蝉を後生に託した(掛けた)ということです。
近くにある後生掛自然研究路の散策途中に勢い良く噴湯するオナメ、モトメと呼ばれる岩がありますが夫々、妾、本妻の化身といわれております。
この競い合うかのように噴湯する光景に、あの世の鬼と化した後も、二人は未だにしのぎを削っているともいわれますが、私はそうは思いません。
後生を掛けても当てもなかった相手を巡り、しのぎを削るなどありえません。
信じて疑わなかった相手に、一瞬にして奈落の深い淵を覗き込まされてしまった、積年の恨節を繰り返し訴えているのではないでしょうか。
また、後生掛温泉は焼山登山への起点にもなっています。
焼山で取れるネマガリタケは太く、ミネラル豊富でおいしいですよ!
後生掛温泉のプロフィール
【住所】秋田県鹿角市八幡平
【電話】0186-31-2221
【日帰入浴料】税込400円(2006年12月現在)
【効能】胃腸病・神経痛・後遺症・リハビリ・リュウマチ・喘息など
国道341号線を秋田県側のアスピーテライン入口で左折します。
ちなみに、このまま341号を直進すると玉川温泉に出ます。
途中、大沼を右に見て、1分程道なりに進むと、右手に後生掛温泉への入口看板が見えてきます。
この辺一帯は、ネマガリタケのメッカで、初夏であればタケノコ採りの車でごった返し、年に何人かは遭難する方が必ず出ます。
アスピーテライン入口から、ここまでの距離は約10km車で10分程度。
この看板を右折して突き当りが後生掛温泉の本館になります。
ご覧の通り、湧出する温泉を歩道に掛け流しているため、冬でも積雪がないので安心して歩くことが出来ます。
この坂を降りきった所に、温泉湯治部の玄関があります。
玄関を入ると、左手に帳場、右に売店があり、直進した階段の下に、浴場へと繋がる渡り廊下があります。
お待たせしました、やっとお風呂場に辿り着けました。
歓び勇んで、カメラ片手に飛び込んだものの、濛々と立ち込める湯気でピントが全く合いませんでした。
唯一、露天風呂だけは何とか写真に収めることが出来たので、ご紹介しますね。
硫黄臭が素晴らしい乳白色のお湯で、歩くと沈殿した湯花が踊りだします。
外は雪景色、家内と一緒だったら雪見酒と洒落込むのですが、残念。
写真がなくて大変残念ですが、内風呂のご案内をします。
浴場の引き戸を開けると、右手の梯子段の上に後生掛温泉名物「箱蒸し風呂」があります。
両開きの蓋を開けて、首から上だけを出し、ひたすら蒸されます。
後生掛温泉のHPを見れば、どんなものか良く分かりますので、是非ご覧になってください。
別名、まんじゅう、若しくは、芋蒸し風呂といいます、「何のことだ」ですって、そりやぁ貴方、蒸せば旨くなるってことですよ。
そして、次は泥湯風呂、何でも地下1000mから沸いてくる鉱泥で、美肌効果に優れているとか。
ほら、これを塗りたくれば今日から貴方も天下無双の泥美人。
この他にも、熱めの「神経の湯」、気泡がブクブク心地よい「火山風呂」、落下距離が夫々異なる「打たせ湯」などのお風呂があってとっても楽しいですよ!後生掛温泉は、「馬で来て足駄で帰る後生掛」と呼ばれています。
説明するまでもなく、ヨレヨレでやって来ても、帰る頃にはシャキッとなる、ぐらいの意味あいですが、その湯治効果もさることながら、各々、趣向を凝らしたお風呂のバリエーションが何とも素晴らしい。
旅館ばかりではなく、自炊棟も湯治棟もありますから、是非一度ご利用になってみてください。