ニコチン

タバコの煙には、4千種類の化学物質が含まれ、その内2百種類以上は、ニコチンなどの有害物質だといわれています。
その中でも、特に人体に害をもたらす三つの有害物質〜ニコチン、タール、一酸化炭素〜の特徴と、人体への影響を調べてみました。
ニコチン
ニコチンは、「毒物及び劇物取締法」の別表1 第19項に指定されている毒物です。
ニコチンは毒性が強く、あっという間に吸収されてしまいます。
暫らくぶりでタバコを吸うと、クラクラ〜となりますが、それがタバコの急性中毒で、ニコチンは吸引されてすぐ脳に達します。
また、マリファナよりも、ニコチンの方が依存度が高いといわれています。
ニコチンの誘惑がなかったら、誰もタールで灰を真っ黒にするタバコなんか、吸うことはないでしょうね。
ニコチンはコカイン、モルヒネ、アコニチン(トリカブトに含まれる猛毒)などと同系列のアルカノイドの一種です。
しかし、タバコは公然と販売されていて、取り締まりの対象になっていないので、ニコチンは最も身近な依存性薬物ということができます。
ニコチンのネーミングは、1550年にタバコ種をパリに持ち帰ったフランスの駐ポルトガル大使、ジャン・ニコに由来するそうです。
現在のタバコについての世論をお聞きになられたら、ニコさんなんておっしゃるでしょうか。

きっと、「タバコの毒を、ニコチンなどと名付けるとはけしからん」と憤慨する前に、たばこが毒物であること自体に目を丸くされるでしょう。
さて、私たちの中枢神経には、ニコチンの受け皿が広範囲に分布しているためニコチンの影響は、脳の広い範囲に及ぶことになります。
特に、脳を覚醒させ、集中力を高める作用を担う神経系(ドーパミン神経系と呼ばれています)が、ニコチンによる依存性の形成に重要な役割を果しています。
ニコチンは高揚した気分を鎮静化させるなど、快楽の感覚を伝達するので、ニコチンが減少すればまたそれを補うべく、喫煙行為は、際限なく繰り返される結果になるそうです。
つまり、ニコチンがニコチンを呼び寄せ、脳がニコチン浸けになるんですね。
また、ニコチンは末梢神経に作用して、毛細血管を収縮させますので、結果として、血圧と心拍数が上昇することになりますから、長期にわたるニコチン摂取は動脈硬化・脳卒中・心筋症など、生活習慣病の引き金になります。
最近めっきり血圧が高くなった、動悸が激しくなったという方は、少なくても、喫煙本数に配慮して、ニコチン摂取量を減らす必要があります。
ニコチンの致死量は、成人で 50〜60 mg、子供の場合は10〜20mgといわれています。
これを紙巻タバコの本数に換算すると、大人なら2本、乳幼児ならたった1本ということですから、ニコチンの毒性たるや凄まじいものがありますね。
特に、子供の誤飲を防ぐため、家庭ではタバコを置きっ放しにしないよう、気をつけなければなりません。
タバコは怖いですね。
ニコチン以外の毒素

タール
喫煙中に紙巻タバコのフ ィルターをみると、茶色い ヤニのようなものが、付着 しているのがわかります。
また、喫煙者が何人もいる部屋の天井には、べっとりとした松脂のようなものがへばり付き、掃除をしてもなかなか頑固で拭き取れません。
これがタールの正体です。
タバコの煙には、自動車の排ガスに含まれるベンツピレン、カドニューム、ロケットや航空機の燃料に含まれるヒドラジンなどの発がん物質が、微粒子として浮遊していて、何年もかけてジワリジワリと、人体に蓄積されていきます。
がんの素を吸い込んでいるんですから、肺がんになったりなったりするのは、当然の成り行きでしょうか。
カーテンなどに長年染み込んだ、タバコのタールを手で触るとべとべとしますが、あんなものが自分の身体の中に、へばり付いていると考えたら気持ち悪いですよね。
ちなみに、タバコ1本に含まれるタールの量を10mgとして、1日に1箱吸ったら1年で73g(コップで半分弱分)、70歳になるまで50年間続けたとすると、約3.5kg(コップ20杯分)の毒の詰まったタールを飲み込む計算になります。
全くとんでもないことです、ニコチンの呪いでがんの素が詰まったヘドロを詰め込んでいることになりませんか。
タバコがやめたくなりましたか。

一酸化炭素
血液中のヘモグロビン は、一酸化炭素を酸素の 240倍も愛しているの で、一酸化炭素と直ぐく っ付いてしまい、酸素は可愛そうに捨て置かれてしまいます。
このため、本来であれば、ヘモグロビンは酸素と結合して、酸素を体の隅々まで運ぶ役割を果すのですが、一酸化炭素が体内に吸収されると、ヘモグロビンの酸素運搬機能が阻害されて、一酸化炭素が体中に行き渡る結果となり、全身的な酸欠状態が引き起こされます。
一酸化炭素と血中のヘモグロビンが結合するとカルボキシと頭に形容詞がつく、嫌なヘモグロビンが組成されますが、タバコを1本吸うと、このカルボキシヘモグロビンは1〜2%増加するそうです。
長年の喫煙習慣により、心臓や呼吸器に疾患がある場合は、このカルボキシヘモグロビンの体内濃度が上昇すると、少しの運動でもすぐ息を切らしたりします。
また、血液は酸素とともに、栄養を全身に供給する大切な役割を持っているため酸素が欠乏すると、栄養の供給が妨げられる、老廃物の回収が遅れる、といった現象も付随して出てきます。
更に、体内が酸欠になると、心臓はより多くの血液を送り出そうとしますので、血圧が上昇し、血流も速度を増します。

大量の血流が、血管にへばりついた老廃物の中を通っていくのですから、当然血管の内皮は傷つきます。
結果として、血管の柔軟性は失われ、動脈硬化が進み、病が沈潜し、老化に拍車がかかるという不健康極まりないスパイラルに陥ることになります。
ニコチンや発がん物質を含むタールは、タバコのフィルターである程度除去できますが、一酸化炭素はフィルターを余裕で通り抜けてしまいます。
ニコチンという名のローレライに手招きされ、毒を盛られ続けている貴方。
タバコはやめてしまいませんか。
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