タバコと病気

タバコを吸うことで罹りやすくなる病気は喫煙関連疾患と呼ばれています。
タバコの病気というと真っ先に肺がんを思い浮かべる方がおられると思います。
しかし、肺など呼吸器にとどまらず、循環器や消化器など、身体の様々な部位の病気に、タバコとの因果関係を見い出すことができます。
また、病気とはいえないまでも、タバコにより吐き気や咳の程度がひどくなったり、身体の免疫機能が低下してアレルギー症状が出たり、傷の塞がりが遅くなったりすることも分かっています。
更に、タバコに含まれる一酸化炭素により、酸素供給が不足するので、運動機能の低下を招き、ニコチンにより、血管が収縮してビタミンCが破壊されますので、皮膚の温度が低下したり、皺が増加することにもなります。
スポーツや美容にも、タバコは大敵というわけです。
このページでは、タバコの病気の代表的な例として、肺、心臓、胃の病気にスポットを当て、考えてみたいと思います。

タバコと病気 肺や心臓などの病い
肺の病気
戦後、急速に死亡率が増加して、問題になって いる病気が肺がんです。
現在では、胃がんを抜いて、男性のがん死亡者数のトップに躍り出ています。
肺がんの原因としては、タバコ、大気汚染、職業柄、食品、遺伝などが挙げられますが、タバコとの関係が、最もはっきりしているそうです。
タバコ研究の権威、平山雄博士の研究報告ではタバコの本数が増えれば増えるほど、肺がんで死亡する確率が増え、1日に20本タバコを吸う人は、タバコを全く吸わない人に比べ、肺がんにかかる確率が約5倍になるということです。
ここで、タバコによって害を受ける、肺の様子を見てみましょう。
私たちの肺は、肺胞と呼ばれる、億単位の1mm位の小さな球形状の臓器で構成されており、肺胞の周りには網の目状に毛細血管が走っています。
ここには、口や鼻から吸い込まれた、外部からの空気が入ってきて、酸素が肺胞の毛細血管にある赤血球に取り込まれ、運ばれてきた不要な炭酸ガスが、肺胞を経由して、身体の外に排出されていきます。
つまり、新鮮な空気と不要な空気のガス交換を行っているわけです。

タバコを吸うと、タバコの有害物質が、気管支経由で肺胞まで吸い込まれてしまうので気管支・肺胞とも炎症を起こしてしまうことになります。
気管支に炎症が起きると、粘膜がただれて、気管支の管が狭くなり、これに染み出だ粘液が詰まって、呼吸がしずらくなります。
これが慢性気管支炎という病気でタン、セキ、息苦しさを伴います。
また、肺胞が炎症を受けて壊れると、肺気腫症という病気になります。
肺胞は、破壊されるとお互いに合体して、元の形に似た大きな袋を形成します。
しかし、この袋は弾力性がなく、膨らみっぱなしなため、空気の出入りが悪く、毛細血管の数も少なくなるので、酸素と炭酸ガスの交換がうまくいかなくなります。
この結果、身体全体が酸欠によって窒息状態になり、息苦しさを感じるようになります。
現在タバコを吸い続けている方の肺は、確実にこの病気に罹っています。
この病気は、タバコを吸っている限り、どんどん悪くなっていくそうです。
とどのつまりは、服を着替えるにも、息切れするようになる方もおられるようです。
身の回りのことも、自分で出来なくなってしまってから、タバコを恨んでも、覆水盆に戻らず、後の祭りです。
心臓の病気
心臓の病気の中でも、代表的なものに虚血性心 疾患があります。

これは、心臓の筋肉に血液を供給する、冠状動脈が狭くなったり塞がったりして、心臓の筋肉が酸素不足に陥ることで引き起こされる病気です。
冠状動脈が狭まって、心筋が一時的に酸素不足に陥る病気を狭心症、冠状動脈が完全に詰まってしまい、心臓の筋肉に全く酸素がいかなくなる病気を、心筋梗塞といいます。
狭心症は、胸が押されるような痛みや、詰まるような症状が数分から十数分続き、心筋梗塞は、胸の激しい痛みが長時間持続します。
狭心症は安静により一旦は改善されますが、心筋梗塞は安静にしていても好転しませんので、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
虚血性心疾患の主因は、冠状動脈の動脈硬化といわれており、タバコは高コレステロール血症、高血圧症とともに、動脈硬化をもたらす要因の一つにあげられています。
では、タバコが動脈硬化を引き起こす、メカニズムはどうなっているんでしょうか。
肺から入った酸素は、血液中のヘモグロビンに取り込まれて、全身に運ばれますが、タバコの煙に含まれる一酸化炭素は、酸素の240倍の力でヘモグロビンと結合してしまうため、酸素は一酸化炭素に先を越されて、ヘモグロビンと結合できなくなります。
その結果、酸素の運搬が妨げられるので、全身に酸素が不足することになります。

危険信号を感じた心臓は、全身の酸欠状態を解消しようと、血流を増加させるため、結果として血圧が上昇し、血管に傷がついて弾力性が失われ動脈硬化が起こります。
胃の病気
胃と食道の境には、括約 筋と呼ばれる筋肉があって 胃液が食道に逆流しないよう、ストッパー役を果 していますが、タバコを吸うことにより、この括約筋が緩んで、胃液の逆流が引き起こされ、胸が 焼けるように感じられる病気が食道炎です。
一週間くらい禁煙を続け、ギブアップしてタバコを吸えば、この症状がよく分かります。
これは私の失敗談です、皆さんは失敗しないでください。
タバコの喫煙により、胃粘膜の毛細血管が障害 を受けて、血流量が低下すると、胃酸と胃酸から 胃壁を守る粘液分泌量との微妙なバランスが崩れ、胃酸により胃壁に穴が空いてしまい胃潰瘍になってしまいます。
ですから、公認のヘビースモーカーが、仕事のしすぎで胃に穴が開いたと訴えても、企業は「タバコの所為ではないのかい。」と涼しい顔です。
胃潰瘍に限らず、喫煙者の病気は、須らくタバコとリンクされがちです。
近い将来、ヘビスモーカーは過労死認定されなくなるかもしれませんね。
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