ニコチン中毒
ニコチン中毒症(依存症)のメカニズムは一体どうなっているのでしょうか。
みなさんは、薬物依存という医学用語をご存知ですか?その薬物特有の精神に与える効果を期待して、抗いがたい欲求に突き動かされ、何度も繰り返し摂取しているうちに耐性ができてしまったり、使用を中断すると離脱症候(俗に言う禁断症状)が現れる状態を「薬物依存」と言います。
更に病状が進み社会的な役割や行動に支障がでるようになると、「薬物依存症」とみなされ、なんらかの対応を迫られることになります。
依存を醸成する薬物を「依存性薬物」と言いますが、これは次の通り3分類することが出来ます。
まず、脳の働きを緩慢にする、即ち鎮静・抑制効果がある薬物で、代表的なものにアルコール、モルヒネ、ヘロイン、精神安定剤、睡眠薬などがあります。
これと相反し、脳の働きを活性化させ、興奮作用をもたらす薬物には、コカイン、覚醒剤がありますね。
さらに、幻覚などを見せ精神を攪拌する薬物にはシンナー、マリファナ、LSDなどがあります。
本質においては、ニコチンもこのような恐ろしい薬物となんら変わるものではなく、同様の経路でニコチン中毒が形成されていきます。
但し、コカイン、覚醒剤などは取締りの対象であり、精神安定剤、睡眠薬などは医師による処方箋が必要ですが、タバコは街に溢れる自動販売機を利用すれば幼稚園児でも簡単に入手できます。
確かに、ニコチン中毒で救急車のお世話になった話は聞いたことがありませんし、他の依存性薬物のように、ニコチンの長期間の服用により幻覚を見るとか精神錯乱に陥ることもないので、社会生活上の害悪に直接リンクされることはないかもしれません。
しかし、社会悪に直接結びつかない依存性薬物であるからこそ、ニコチンは今日までしなり強く生き続けてきたのではないでしょうか。
また、現在ガン死亡者のトップに君臨する肺ガン罹患者の大多数が喫煙者で占められていることを考えると、このことこそがニコチン中毒者を量産し、人類に大きな禍根を残してきた元凶と言えないでしょうか。
タバコはサイレントキラー、世間の目を欺きながらジワリジワリと身体と精神を蝕むプロの殺し屋です。
ニコチン中毒の歯牙にかかれば、どんな栄養素を摂取しようが、身体を鋼のように鍛えようが糠に釘。
国策として、タバコは排他すべきではあるが、簡単には排他できない厄介な代物、そこには様々な思惑と経緯が絡んでいます。
ニコチン中毒(依存)は時間をかけて確実に貴方の身体と心を蝕んでいきます。
タバコの値段が上がろうが、タバコのボックスに「喫煙はあなたにとって〜の危険性を高めます。
」と書かれてあろうが、真にニコチン中毒に陥った人間には何の効果もないでしょう。
結局、禁煙の意思を持ちながらもタバコと縁が切れない貴方が、自らのニコチン中毒に終止符を打つしかないということです。
清王朝はイギリスのアヘン戦略により息の根を止められました、またJTの重役に喫煙者は殆どいないそうです、歴史を紐解き現実を見据えたら、きっとニコチン中毒とオサラバできると思います。
さて、上述した薬物の精神に対する影響は「鎮静」「興奮」「錯乱」のいずれかひとつですが、ニコチンは器用にも「鎮静」と「興奮」の作用を持ち合わせているようです。
ニコチンが切れかかって鬱々とした寝起き状態の朝に一服させて「興奮」覚醒させ、興奮した時にも一服させて「鎮静」リラックスさせます。
タバコを吸わない人なら単に時間が解決してくれる些細なことでも、喫煙者にはタバコが必要なのでニコチン中毒はどんどん亢進していきます。
そもそも、タバコを吸ったからスキッとした、リラックスしたなどありえないことです。
吸い始めのころはどうだったでしょう、タバコを吸って咽なかったでしょうか、「こんなもん何が良くて口にしてるんだ」と思わなかったでしょうか。
タバコがないと「スキッとできない」「リラックスできない」原因を作り出したのは、とりもなおさず貴方のタバコであり、貴方がニコチン中毒の虜だからスキッとしたように感じ、リラックスできると勘違いしているのではありませんか。
サイレントキラー、ニコチンは詭弁のたつ「すり替え」の名人でもあります。
ニコチン中毒に翻弄され続け、ひとつしかない生を偸まれては大変です。