禁煙の意思を阻害するたばこの呪縛

たばこに含まれるニコチンは、脳を占領し正常な判断力を奪いますが、脳以外の部位に対しての化学作用については大した害はないようです。
つまり、ニコチンは、禁煙しなければ近い将来厄介なことになるという現実を見失わせるくらいの悪戯しかできないのですが、諸事このことから私たちの健康が蝕まれ始め、身体に毒素が蓄積されていくので注意しなければなりません。
よく、たばこを吸い始めて日が浅い人や長年たばこを吸い続けている人が禁煙をするのは簡単なことだといわれますが、なぜかお分かりになりますか。
たばこ経験の少ない人は未だ習慣として喫煙行為が根付いていないため禁煙しやすいというのは理解いただけると思いますが、なぜヘビースモーカーが簡単に禁煙できるのでしょうか。
これは、長く吸い続けるほど健康被害の程度が悪化して、禁煙によってもたらされる身体具合の好転や疲労感の消失程度が大きく感じられるからに相違ありません。
つまり、症状がひどい状態にあるほど、たばことおさらばした時の収穫は大きいものになるということです。
たばこによる体内の汚れを一掃するためには何年もかかるとか、たばこを一本吸うごとに命が分単位で縮まっていくなどと言われていますが、このように個人差を考慮しない話は、たとえ統計を分析した結果であっても所詮憶測に過ぎず、正しくはありません。
しかしながら、このように通説として語り継がれているたばこのリスクは、決して大げさに誇張されたものでもありません、何故ならば、人がリスクについて語るときは、控えめに語ることはあっても誇張して語ることは少ないからです。
また、あなたが禁煙することでたばこに侵された体の汚れが一掃されると思っているのならそれは誤りです。
考えてみてください、あなたの肺にはたばこの煙に含まれるタールがべっとりへばりついています、そんなにやすやすと取り除けるものだと思いますか。
私たちができることは、これ以上体の中にたばこに含まれる毒物を蓄積しないこと、完全には払しょくできないけれども徐々にたばこの毒を排出するための努力をすることです。
決して完璧を目指してはいけません。
「どうせすっかりとは良くならないのだから」「いまさら禁煙したって無駄」このような心の虚無状態、あきらめはたばこによる病状を決定的なものにする引き金になります。
元来、私たちの身体は素晴らしい耐性と回復力をもっています。
ひどい二日酔いでも日が暮れるとまたお酒が恋しくなったり、泥のように疲れていても一晩横になって休むと次の日はすっきり爽快な朝を迎えることができたり、あなたもこの素晴らしい身体の機能を何度か体験なされているにちがいありませんね。
しかしながら、たばこの呪縛で取り返しのつかない状態になってしまったら、もう二度とこのような恩恵に与かることはできなくなります。
「禁煙に遅すぎるということは決してない」とは良く聞く言葉ですが、いつまでも「まだ大丈夫」と油断してはなりません、あまりに遅きに失した場合は、泣こうが叫ぼうが健康は決して再生できません。